2010/10/04

Träumerei

雪がどさどさ降った。住宅地も1階部分を埋め尽くしてしまうほど雪が降り積もり、独特の静けさに包まれている。道路も真っ白に覆われて、一面の雪景色。人がギリギリ通れる幅に除雪して、細長い歩道が作られている。
雪は既に止んでいるが、まだ薄暗い雲が空に広がっている。そんな中、小学生くらいの男の子が両手に温かい飲み物が入った紙コップを持って、細い雪壁道を走っている。サラサラの黒髪がふわふわ揺れる。彼の吐く白い息がふぅーっと空中に消えてゆく。
学校の教室に着いて、彼は言った。
「風邪の調子はどう?」
どうやら同じ教室に風邪を引いた男の子がいたらしい。その子のために彼は温かい飲み物を、冷めないように走って持ってきたのだ。
でも、呼びかけられた男の子は「もう治った。次いくよ」と他の子達との間に混じっていってしまった。
走ってきた男の子は、左手に持っていた紙コップを床に落とした。中身がこぼれて、紙コップは床にできた小さな水たまりの中でからから動いて、やがて止まった。

佇む男の子の背中を見ていたら、夢から醒めた。