2011/07/18

fall into a hole

たまにどうしようもなく、マンホールに、落ちる。

街の中にあるマンホールが間違って蓋が開いていて、そこに落ちてしまうかのような。

不思議の国のアリスのような。

暗いマンホール。

周りに何があるのか見えない。

視界から、それまで目に映っていた一切の風景が、消える。

突き抜ける青色の空はいつもより遠く。

手が届かないなあ、とぼんやり思ってる。

マンホールの中は暑くもなく寒くもなく、音もなく、色もない。

落ちた時は、あ、落ちちゃったな、って思うだけ。

でもそのうちいつの間にか出てきている。

出てこられるのがわかっているから、怖くはない。

ただ、閉じてしまうだけ。

2011/07/15

Träumerei


しょうじょうじさん。しょうじょうじ、という苗字の女医さんが妊婦検診をしている。


これは夢だとわかった。だから診察室のベッドの下から砂漠が広がっている光景にも疑問はなかった。女医さんの顔も知らなかったが、夢だからそういうこともある。


黄色っぽい赤っぽい乾燥した砂がずっと広がっている。診察室は途中から診察室ではなくなっている。その砂の中央あたりが、こんもりと盛り上がっていた。


なぜか周りには看護士やスタッフはいなかったけれど、診察中の女医さんがいる。砂を少しスコップでかいて寄せてみたら、シャツの襟らしきものが見えた。私は慌てて埋め直した。砂の下に水の層があって、その濁った泉のような部分に人の死体が沈んでいたのだ。


見てはいけないような気がしたので、見なかったことにした。何もなかったふりをした。誰も気がついてはいない。


それから、私は夢だと気がついていたから、人が死んでいるのが確認できさえずれば良かった。砂漠に何が埋まっているのか気になっただけだから。

2011/07/07