たまにどうしようもなく、マンホールに、落ちる。
街の中にあるマンホールが間違って蓋が開いていて、そこに落ちてしまうかのような。
不思議の国のアリスのような。
暗いマンホール。
周りに何があるのか見えない。
視界から、それまで目に映っていた一切の風景が、消える。
突き抜ける青色の空はいつもより遠く。
手が届かないなあ、とぼんやり思ってる。
マンホールの中は暑くもなく寒くもなく、音もなく、色もない。
落ちた時は、あ、落ちちゃったな、って思うだけ。
でもそのうちいつの間にか出てきている。
出てこられるのがわかっているから、怖くはない。
ただ、閉じてしまうだけ。