しょうじょうじさん。しょうじょうじ、という苗字の女医さんが妊婦検診をしている。
これは夢だとわかった。だから診察室のベッドの下から砂漠が広がっている光景にも疑問はなかった。女医さんの顔も知らなかったが、夢だからそういうこともある。
黄色っぽい赤っぽい乾燥した砂がずっと広がっている。診察室は途中から診察室ではなくなっている。その砂の中央あたりが、こんもりと盛り上がっていた。
なぜか周りには看護士やスタッフはいなかったけれど、診察中の女医さんがいる。砂を少しスコップでかいて寄せてみたら、シャツの襟らしきものが見えた。私は慌てて埋め直した。砂の下に水の層があって、その濁った泉のような部分に人の死体が沈んでいたのだ。
見てはいけないような気がしたので、見なかったことにした。何もなかったふりをした。誰も気がついてはいない。
それから、私は夢だと気がついていたから、人が死んでいるのが確認できさえずれば良かった。砂漠に何が埋まっているのか気になっただけだから。
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